[Steam]面白いのにあまり知られていないオススメのパズルゲーム10選

これまで様々なSteamパズルゲームを遊んできたのですが、面白いと個人的に思ったもののWeb上にほとんどレビューが無かったり、あっても発売がかなり前のため近年は遊ばれていなかったりと、いわゆる「埋もれている」ゲームが結構あるなと思いました。
他にもパズルゲーマーには評判が良いもののあまり知られていない作品や、難易度や見た目の面であまり遊ばれていない作品など、そういったものをまとめて「隠れた名作パズルゲーム10選」みたいな形にしたら面白いのではないかと思い、今回の記事を書くことにしました。

(1)名作だが近年は遊ばれていない作品

①Filament


廃棄された無人の宇宙船「アラバスター号」に乗り込み、この船で過去に何が起きたのか?乗組員はどこへ行ったのか?というのを解き明かしていくパズルゲームです。
ケーブルに繋がれたロボットを操作し、白い柱にケーブルを接触させて柱を点灯させつつ出口へ向かうのがパズルの基本ルールとなります。

パズルを解いていくと各乗組員視点のメモが手に入ったり、謎の音声アナウンスが入ったりするのですが、それらの断片的な内容から少しずつ真相が明らかになっていくのがたまらなく面白かったです。

また、船内を探索していく中で、乗組員が生活していた様子が残されているのですが、その痕跡に見せかけた「何か」が見つかることがあります。
もしかしてこれは!?という気付きから試行錯誤してそれを明らかにできたときにはかなり興奮しました。

探索+謎解きの要素が盛り込まれていて、本編のパズルも数百問用意されており、素晴らしい作品だと思います。
にもかかわらず全くと言っていいほど日本語のレビューがWeb上に無く、正直埋もれてしまっていると思います。

フォロワーの方の1人が最近本作をやっていて、このゲーム面白かったのに全然やっている人見ないな、何とか宣伝したいなと思ったのが本記事を書き始めたモチベーションの1つでした。

文句なくオススメの1作です。

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②Antichamber


2013年発売のゲームでSteam上でのレビュー数12000超え、評価も「圧倒的に好評」なので文句なしの名作です。
ただ、この作品も近年はそんなにプレイヤーを見かけないのと、同じぐらいの評価を受けているThe Witnessと比べて日本語のレビューも少ないので本記事で紹介しようと思いました。

1人称視点でマップを進んでいき、道中で手に入る銃を使ってブロックを吸い込んだりくっつけたりして仕掛けを動かしていき、出口に到達することがゲームの目的です。

白黒基調にビビッドな色使いのデザインが特徴的です。
一部のマップで暗い通路を通らないといけない箇所がありますが、突然驚かせてくるようなジャンプスケア的な要素はありません。
攻撃してくるような敵とか落下ダメージも無いです。
(ほんの少しだけ不気味というか不安を煽るようなシチュエーションはあると言えばありますが)

マップにはいろいろなギミックが用意されており、また3D的にありえないマップの繋がり方をしていたりするので、超現実的というか夢の中を彷徨っているような感覚になります。

古いゲームということもあり、視野角が調整できないので3D酔いしやすいというのは注意点です。
ただ、1人称視点パズルに慣れている方であれば大丈夫かと思います。
Manifold GardenやSuperliminalのような作品を楽しめた方にオススメです。

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③Qbeh-1: The Atlas Cube


天空に浮かぶステージをゴール目指して進んでいく1人称視点3Dパズルゲームです。
リリースは2014年、レビューも500件超えで非常に好評ですがこの作品も埋もれてしまった隠れた名作だと思います。

ステージ内に配置されたキューブを回収していき、壁や床にくっつけて足場にすることでステージを進んでいきます。
後半以降のステージでは、設置すると動く足場となって上に乗って移動できるキューブや、動きがゆるやかになって遠くまでジャンプできるようになるキューブなどが登場し、よりバリエーション豊かなアクションパズルが楽しめます。

ステージ毎に1つピラミッド型の隠しアイテムが隠されており、ステージ内をすみずみまで探索したくなる仕組みが用意されています。
場合によってはシーケンスブレイクに近いような閃き(例えば多数のブロックを階段上に設置して無理やりステージの外側とか天井裏に行くような)が要求されたりするので探し甲斐があります。

風景が美しく、ステージの端に立って眺めているだけでも楽しいです。
The Talos PrincipleやThe Witnessのような作品が楽しめた方にオススメです。


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(2)パズルゲーマーには評判が良いもののそれ以外のプレイヤーにあまり知られてなさそうな作品

④パクレットのウサちゃん捕獲ゲーム


ここ1年ぐらいで出たパズルゲームとしては、この後紹介するVoid Strangerと本作がずば抜けて素晴らしかったので紹介したいと思います。

ゲーム内容としては、迷路の中で逃げるウサギを追いかけ回して捕まえる、いわゆる2D倉庫番系パズルになります。
ウサギの逃げ方には法則性があり、適当に追いかけるだけでは捕まらないため、うまく袋小路に追い込んで捕まえるのがポイントです。

最初は1つの巣穴しか探索できないのですが、ウサギを集めれば集めるほど新しいステージや便利なアイテムが開放され、探索できる範囲が増えるのが大きな魅力です。
巣穴を探索していくと、この巣穴は一体どこまで繋がっているのだろうというのが気になってきますが、その範囲は思ったより広くて深いです。
深い階層まで潜っていくと、ウサギを捕まえるどころかそもそも次の階層に行くだけでも難しくなり、探索自体も歯応えのあるものになってきます。

このゲームがなぜここまで評価されているのかというと、「あれ?このアイテム使ったらこんなことできるんじゃないか?」という気付きに対して想定以上の回答をゲーム側が返してくれる点にあります。
しかも最初の気付きは割と序盤、具体的には3つ目の巣穴辺りで実現できます。
これをやったらゲームを破壊できてしまうのでは?というのをやってみると本当に実現できてしまいます。
「え、じゃあこういうことをやってみると?」と試してみると予想もしないものが見られたりします。
そういう試行錯誤をしていると、このパズルゲームの真の姿というか、それマジで言ってる・・・?みたいな理解に到達することができます。

全実績取得相当の完全クリアは相当大変なので、まずは巣穴の最深部に到達するところまでを目指すのも良いと思います。(15~20Hぐらい?グローバル実績で達成率15%ぐらい)

間違いなく傑作です。オススメです。

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⑤Void Stranger


リリースされたのは昨年ですが、クリアしたプレイヤーのレビューや口コミによってじわじわと評判が広がり始めている作品です。
プレイする人を選ぶが、一部のプレイヤーからは熱狂的に支持されている、そんなゲームです。

本作は2Dパズルとアドベンチャー要素が組み合わさったゲームです。
各フロアでロッドを使って床の位置を入れ替えて移動し、階段に到達して次のフロアに進む、というのが基本の流れです。
ある程度進むと定期的に休憩ポイントがあり、そこで見られる夢によってストーリーが進行していきます。

最初はわけもわからずフロアを進んでいくことになるのですが、断片的に語られるストーリーによってなぜVoid(大穴)の深層を目指すことになったのかが明らかになっていきます。

このゲームは倉庫番パズルを解いてフロアを進んでいくのですが、本質的にはパズルを解くことを目的とした作品、ではないです。
むしろパズルを解くことはストーリーを追ったり謎を解いたりするための手段となります。

この作品は確かに多くのパズルを解くことが手段として必要になりますが、一部のコアなパズルゲーマーだけが楽しめる作品ではなく、むしろこれまであまりパズルゲームを遊んでいなかったようなプレイヤーにこそ強く刺さるのではないか、と思っています。

というのは、ゲームを進めていく中であるとき気づくギミックがゲームの性質を全く変えてしまうもので、これに気づいたときの感動というか興奮はなかなか他のジャンルで得られないようなものだからです。

ゲームをクリアしようとすると、自分用のメモを作成して、各フロアのスクショを撮ったり、得られた情報を整理したりして、それらからある1つの結論を導くようなフェーズが存在します。
いわば自分用の攻略本を作るようなものです。
場合によっては何度も同じパズルを解いたり、何時間も進捗が無いような状況もありえます。
それだけに全ての謎を解いて真相に辿り着いたとき、それまでに費やした時間はかけがえの無いものになります。

ゲーム全体に仕掛けられたいくつものギミックに気づけたときの感動や興奮、また真相を解き明かすために費やした時間や体験によって、このゲームは熱狂的な支持を集めているのかなと思います。

決してインスタントに達成感や爽快感を得られるゲームではないですし、クリアまでに数十時間を要するという点で、誰にでも楽しめるとは流石に言えないです。
それでも、このゲームで唯一無二の体験をするプレイヤーが増えれば嬉しいです。

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Taiji


2D版のThe Witnessというような作品です。
ドットで表現された美しい島を駆け回りながら、島の至るところに配置されたパズルを解いていくようなゲームです。

島の各エリアでそれぞれ異なったパズル群が用意されており、それぞれのパズルのルールは明示されないので、いくつかの問題からルールを推定する必要があるのが本作の面白い点です。
いくつかの問題から完全にルールを理解した、と思っても次の問題で全然理解できなかったことに気づいたり、理解していたルールから応用的な発想が求められたりと多様なパズル群が迎えてくれます。

The Witnessだと3D酔いしてしまったような方にも本作はオススメです。
このゲームも面白い作品だと思うのですが、The Witnessに比べると1/10以下しかレビューされていなくてもったいないと思ったので挙げさせていただきました。

最近ボイロ実況で本作をプレイされているシリーズも上がっているので、ゲームの雰囲気はこちらを見るとだいぶわかりやすいかと思います。

www.youtube.com

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⑦Recursed


再帰構造を活かした2Dのアクションパズルゲームです。
各ステージには出入りできる箱が置かれているのですが、箱から一度出るとその箱の中身はリセットされる、という特徴があります。
この特徴を活かして、例えば鍵を箱から何度も取り出して無限に複製する、という現実だとありえないことができたりします。
更には箱の中に入ると同じ部屋にループしていることがあり、箱の中の箱の中の箱の中の・・・今どこに居るんだっけ?みたいな混乱する状況になったりします。

そんな不思議な世界を題材にしたパズルゲームですが、中盤辺りで緑のオーラをまとったオブジェクトが出てきます。
緑のオーラをまとっているオブジェクトは一度箱の外に出ても状態がリセットされず、置かれている場所や状態が保存されるという特徴があります。

緑のオーラをまとった箱の挙動が特に面白く、緑の箱に入った後、その箱自体を別の位置に移したりすると箱から出たときの位置も影響を受けます。
これを利用して色々悪さができます。

うっかり緑の箱をステージ外に捨ててしまったりすると、箱から出るときに戻る場所が無い状態になったりするんですが、そのときの挙動が予想外で興奮しました。

こちらも同投稿者のボイロ実況シリーズがあります。
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(3)難易度の高さや見た目によりほとんど遊ばれていない作品

⑧Bean and Nothingness


ここからの3作品はこれまでに挙げた作品群とは異なり、パズルゲーマー向けに作られていると想定されるものの、難易度が高かったり諸事情によってそもそもパズルゲーマーにも知られてなさそうな作品です。
Steamレビュー数でいうと2桁~100ちょっとぐらいの規模です。

本作は2Dグリッドベースのパズルで、いくつかのギミックを用いて障害物を解除し、操作キャラクターを特定のゴール地点に到達させるものとなっています。

特徴的なのが、タイトルにもなっている「豆」の活用です。
パズルには様々な性質を持つモンスターが登場しますが、出現させるための豆の種類や個数が決まっており、同じマスに所定の種類・個数の豆を配置して魔法の杖を振ることで出現させることができます。
豆は持ち運びできるので、出現させる位置やタイミング、また出現させるモンスターの種類が任意になっており、自由度の高いパズルが構成されています。

パズルは高難易度ですが理不尽さは無く、問われている内容は明確で、それを実現する手段を思いつくのが難しいという印象でした。
登場するモンスターの種類が多いので解き味も問題によって違い、ずっと新鮮な気持ちでプレイすることができました。

体感難易度はED到達まででBABA IS YOUやRecursedの全問クリアと同じかちょっと上ぐらいと感じました。
難しいです。

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⑨The Golem


2Dグリッドベースのいわゆる倉庫番パズルです。
いくつかルールが追加されており、押しているブロックにくっつく+マスや、逆に重なったブロックを破壊する-マス、下方向への重力を持つ▽ブロックなどが用意されています。

問題数は少ないですが非常に練られており、大体の問題で難所が複数用意されているのが作問の特徴です。
1つ1つ課題を解きほぐしていくと、全体として問われていることが明らかになっていき、最終状態から1手ずつ戻していくとこういう手順が必然的に必要となる、というように理屈立てて解けるようになっているのが素晴らしいと感じました。

作問が本当に素晴らしくて、特に前半2ステージの問題のいくつかはパズル自体の美しさに感動しました。
パズルそのものに感動できることってなかなか無いので体験としてとても良かったです。

また、いくつかの問題では「機構」を作ることが問われているものがあり、これも考えていてとても楽しかったです。
この問題を例として挙げると、一方通行になっている左通路に入った後に右下にあるカギ括弧型のブロックを動かす方法を考えてくださいというのが題意で、これを実現する機構を考えるのがとても面白かったです。

体感難易度は同じくBABA IS YOUやRecursedより上、先ほどのBean and Nothingnessと同等かちょっと上ぐらいかと思いました。
解くのに数日かかった問題もあり、こちらもかなり難しいです。

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⑩SquishCraft


最後に紹介するのはSquishCraftです。大半の人はバナーを見ただけで興味を無くすと思います。
しかしその終わっている見た目に反して、本作はユニークなギミックを備えた非常に面白いパズルゲームとなっています。

そのユニークなギミックとは「圧縮」です。
複数のブロックを壁に向かって押すことで圧縮でき、普通の倉庫番ルールでは通れないような通路を通れるようになったりします。

この圧縮というルールの何が面白いかというと、例えば3個のブロックを2個に圧縮した状態を考えると、元の体積の2/3と1/3が合体したブロック、1/3と2/3が合体したブロックの2つができています。つまり、真ん中にあったブロックは分割された状態になります。
このテクニックより、仕掛けを解くのに有用なブロックを2つに増やしたりできます。

これらだけでも既に面白いですが、更にワールドマップに相当するものもパズルになっており、各ワールドを解いていくごとに行ける範囲が広がったりします。中には隠しステージのようなものもあったりして探索チックな要素もあったりします。

上の2作に比較すると難易度はそれなり、しかしちゃんと歯応えのある作品になっています。
見た目が終わっているだけでとても素晴らしいパズルゲームです。

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ここまで個人的に好きな、しかしイマイチ知名度が無い作品を紹介してきました。
本記事を読んで各作品を遊ぶプレイヤーが増えれば良いなと思います。

これまでに紹介してきたゲームの一覧はこちらの記事からどうぞ。
kaiyuki.hatenablog.com